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「中庭の出来事」by恩田陸 読書メモ 2.7

カテゴリ : 推理日記
2.5では、キャラクターに焦点を当てて、物語が誘う順番のままに気になる点を探してみた。
2.7では、各章の題名に従って、輪切りにして分析してみることとする。
例によって、ネタバレの可能性が大。
注意せよ!
p379まで一次分析終了。
この物語は、「中庭にてシリーズ」「旅人たちシリーズ」「『中庭の出来事』シリーズ」の3つによって構成されている。
分析が進めば、これらのうちのいくつかが、さらに細分化される可能性も小さくはないが、とりあえずは、題名によって3つに分類し、再構成してみることで、分析を進めたい。

◆中庭にてシリーズ
中庭にて1
p5
2人の女の会話。
神谷華晴(かみやかせい)の死について。

中庭にて2
p40
「中庭にて1」のオーディション。
来る女が甲斐崎圭子、待つ女が平賀芳子。
サラダが「鴨とチコリのサラダ」ではなく、「鴨とアンディーブのサラダ」。

中庭にて3
p64
稽古場からの帰りに、喫茶店に寄った男(たぶん脚本家)(=神谷華晴?あるいは細渕?それとも昌夫?)が、ビル街の中庭で死ぬ娘を目撃する。

中庭にて4
p112
早朝のホテルの中庭。
ウェルメイドプレイを書く脚本家。

中庭にて5
p123
ビル街の中庭で娘が死んだのを見ていたのは、脚本家の細渕晃。
彼女は死の直前、笑って、泣いて、怒った。

中庭にて6
p153
細渕。
三番目のボタンが取れていることに気づく。
待ち合わせに遅刻。
女が待っている。
楠巴(くすのきともえ)。
細渕が脚本で迷うと相談する。
細渕が構想している脚本は中庭での毒殺。
内容は、ひとり舞台のオーディションを受ける3人の女優と、脚本家の毒殺。
ビル街の中庭での出来事をきっかけとして、細渕は脚本を書き始めた。

中庭にて7
p202
細渕と楠巴。
ビル街の中庭で死んだ娘の事件について、一つの解釈が提示される。
「自分の見たものが、実際に起きていたことかどうかは分からないわよね。」
「そうは言ってないわ。自分が見たものの意味を理解できなかったんじゃないかってこと」

中庭にて8
p295
ウェイターであるらしい「彼」。
楠巴と細渕。
細渕の注文は鴨とアンディーブのサラダ。
彼は、デ・ジャ・ビューを覚える。

中庭にて9
p303
女性客と給仕?
2人の女優(平賀と甲斐崎)の会話。
詳細は描かれていないが、「中庭にて2」なのか?
血を吐いて死ぬ平賀。

中庭にて10
p308
細渕、楠と赤と緑のジャケットを着た小さな芸能プロダクションのマネージャーの会話。
平賀の死について。
誰にも毒を入れる隙がなかった。
が、割れたグラスからは毒が検出された。
平賀と甲斐崎は、来春、舞台で共演することになっていた。@「何がジェーンに起こったか」

◆旅人たちシリーズ
旅人たち1
p28
2人の男の会話。
高層ビルの中庭で死んだ女の話。
神谷が1週間後に聞いた話では、女は笑い、怒り、泣いていた。

旅人たち2
p87
昌夫(あきお)と1人の男
トンネルに向かって歩きながら、話している。

旅人たち3
p165
駅のような場所で話している昌夫と中年男。
脚本家が脅迫のための脚本を書き、3人の女優がオーディションを受ける話。

旅人たち4
p216
昌夫と男が話しながら歩いている。
男の姉の話。
血の繋がっていない姉は、小さい頃に家を出てから音信不通。
顔は今でもよく見るんだけど、直に会いたいとは思わない=客席から舞台上の姉なら見ている?
2人は『霧の劇場』に到着。
霧の劇場の来歴。
今年の演目は「牡丹灯籠」。
劇場には幽霊が出る。
男は、2年前の夏、「奴」が公演の仕込みをしている時に遊びに来て、その時幽霊を見た。
2年前の夏の公園は「真夏の夜の夢」。
週刊誌では「真夏の夜の悪夢」と。
役者が1人増えていた。
千秋楽の前日、通路を駆け抜けて、改札を出て行った幽霊。
「奴はあの上演をきっかけに、例の芝居を思いついたということだ。」
「例の芝居」=「真夏の夜の夢のオーディション」

旅人たち5
p331
昌夫と「男」、2人で同じ台本を読んでいる。
台本の内容
・2人の女が共犯
・ヒロインは女優
・演じる女優に対する告発だった?

◆『中庭の出来事』シリーズ
『中庭の出来事』1
p72
戯曲形式
取り調べの場面
3人の女優が同じ役を演じている。
オーディションの場面と思われる。

『中庭の出来事』2
p102
女優2
神谷のことを「神谷」あるいは「彼」と表現する。
神谷華晴の書いた一人芝居『告白』
そのオーディションを受ける3人の女優。

『中庭の出来事』3
p115
神谷の婚約について語る女優3と1。

『中庭の出来事』4
p136
神谷の死について語る3人の女優。

『中庭の出来事』5
p172
3人の女優による自分語り。

『中庭の出来事』6
p247
舞台の掃除をしている男
3人の女優が語る、他の女優のこと、自分のこと。

『中庭の出来事』7
p321
雨で道路が20センチ近く冠水+看板が落ちて通行止め(3時ちょっと前から2時間近く)
ゆえに
嘘を吐いている。
河野百合子をかばっている。

『中庭の出来事』8
p337
「男」が取り調べをしている。
嘘を混ぜるのならば一箇所だけで、嘘になりそうなところは省く。
靴を修理した場所が、犯行現場近くで見つかった。
女優1・2・3が犯行の否定と、自分以外の女優の動機を証言する。
女優2→槇
女優1→平賀
女優3→甲斐崎(甲斐崎が靴屋でアルバイトしていたという情報。何じゃこりゃ?)
その後、それぞれの女優がそれぞれの動機を否定。
「男」の独白。
『私は、若い頃のことを思い出しました。友人と、山の中にある、鉄道の廃線跡を歩いていた時のことです。』
『ヒロインを追い詰めていく男―恐らくは、私と同じ職業なのでしょうが、彼にも親近感を覚えました。』
『特に、嘘の話には頷かされました。』
隣の喫茶店に入って休み、勘定をしようと立ち上がって、伝票を持ってレジを振り返ったその瞬間、自分の間違いに気がついた。
『その瞬間、背筋を伸ばして、きょろきょろと辺りを見回したことを覚えています。いきなり、周りの景色が変わって見えたからです。』



【分析】
◆仮説1
この小説には、3つのレベルの世界が描かれている。

一番奥が、神谷が書いた脚本「告白」の世界。
ひとり舞台。
『中庭の出来事』にて言及されている。

次が『中庭の出来事』という題名の脚本に書かれた世界。
神谷はこの世界の住人であるから、その存在はフィクションであるはず。
しかし、この脚本『中庭の出来事』を書いた脚本家は誰なのだろう?
「中庭にて6」の内容から判断すると、細渕なのか?

一番外側(=この小説での現実)が、ビル街の中庭で娘が死んだ事件の起こった世界。
その事件から着想を得て、細渕が『中庭の出来事』という脚本を書いた。(中庭にて6)
その『中庭の出来事』の中で言及されているのが、一人舞台である『告白』。(『中庭の出来事』2)
脚本家は神谷。

「旅人たち」シリーズの位置づけが不明。
独り舞台ではないから(本当にそうだろうか?)、「告白」ではなさそうだし…。
もしかして、4つ目のもっと外側の世界があるのか?
いや、もう一つの劇中劇、「真夏の夜の夢」についての言及があるぞ。(旅人たち4)
「真夏の夜の夢」のオーディションは、現実にあった話が劇中に紛れ込んでいるのかも?

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  • 2014年09月16日 (火)
  • 21時30分54秒
by AlphaWolfy

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